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2017年8月29日火曜日

波板の塗装

波板・折板は塗装して使用される場合も多い。
塗装の目的には、
  • 意匠を実現するため
  • 経年による美観の劣化を補修するため
  • 太陽光を遮断し材質の劣化を遅延させるため
  • 防錆のため
  • 異種金属接触腐食を防ぐため
などがある。

密着性の良い塗料(素材別)

塩ビ              シリコン、ウレタン、フッ素系
ポリカーボネート      アクリル系
スレート           シリコン、ウレタン、フッ素系
カラー鋼板                    アクリル、シリコン、ウレタン、フッ素系
ガルバリウム        シリコン、ウレタン、フッ素系

上記の他に、各素材専用のプライマーも塗料メーカー各社の製品ラインナップとして発売されており、 塗装工事の各現場で広く利用されている。プライマーには、品名に「○○用」と明記されて発売されている事が多く、目的の塗面に応じたものを選定しやすい。
補修のための塗装の場合は、汚れ・錆の除去や古い塗料の除去のためのけれん、プライマーの塗布など、状況に合った素地調整が必要である事は、他の一般的な建材や塗面と同様である。


参考

日本ペイント  https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/building/faq_69.html
太陽塗料 https://www.taiyotoryo.com/industrial/pc/
エスケー化研 http://www.sk-kaken.co.jp/shanetsu/sh_page04.html
いえぬり  http://ienuri.jp/base07252010/

波板・折板の耐久性(素材別)

寿命の目安は次の通りである。

波板

塩ビ(ガラスネットなし)  2~3年  (A)
塩ビ(ガラスネット入り)  5~7年 (A)
ポリカーボネート 7~10年  (A)
スレート          30~40年 (B)
亜鉛メッキ鋼板(トタン) 10~15年 (C)
ガルバリウム      20~30年 (C)

折板

調べてみた範囲ではデータが得られなかったが、同じ素材の波板と同程度の寿命ではないかと推測される。

ウェブ上では様々なデータが公開されているが、出所によりそれぞれのデータには幅がある。そこで中庸なもの、ページ内にある解説などの情報から妥当と思われるものをピックアップして掲載した。
建材の寿命は環境の違いにより異なるほか、塗装等のメンテナンス実施によって異なる。特に、塗装により寿命を延ばす手法は一般的であり多く用いられている。

データの出所


(A) タキロンシーアイ https://www.takiron.co.jp/product/product_01/namiita/contents_a02.php
(B) ちきゅうにやさしい施工研究会LLP http://www.earth-lab.org/item/zerod-roof/volt.html
  横浜スレート工業 http://www.y-slate.co.jp/category01/index01.html
(C) 屋根工事お助け隊 http://coachbagsmallonline.com/2_taiyou_nennsuu/totan_taiyou_nennsuu.html

2017年8月28日月曜日

波板の施工例


波板は一般的に工場・倉庫などで多く使用されている。低コストである点が好まれていると考えられる。しかしそうした用途での使用が多いというイメージや、低コストであるが故にみすぼらしいというイメージを持たれる事も多い様である。
街を歩いて実際に波板が使用されているケースを探してみた。


自動車修理工場の壁(スレート波板)


マンションの屋外倉庫の屋根

時間貸駐車場の塀


通りに面する外壁を金属系サイデイングで、
裏路地に面する外壁を波板(角波)で仕上げた住宅





2017年8月22日火曜日

波板・折板の施工に使われる工具

折板・折板の施工によく使われる工具をまとめてみた。なお、ビスやボルトを締めたり穴を開けたりするのにインパクトドライバーや電動ドライバドリルが使われたり、釘を打つために玄能が使われたりする事はもちろんあるが、そうしたものは省いた。

成形

  • 折板成形機 ロールに巻かれた薄鋼板をいくつかのローラーに巻き込んで成形する。一般的に折板を大量に使用する大規模な現場で使われる。設置するとそこがちょっとした工場のラインに見える様な、大掛かりな工具である。

切断

  • ニブラ/キーストンカッター 回転する細い棒状の刃を板材の端から押し当てて切断していく電動工具。
  • シャー/電動カッター 金切りハサミの様な刃が高速で開閉する電動工具。
  • 金切りハサミ 折版の横切り専用として、滑ったり潰したりする事なく切断し易い用に、 JISのピッチに合わせた波型の刃を持つものが発売されている。

穿孔

  • 折板用パンチ 長い柄による強力なレバレッジで軒先から近い部分にスピーディーに穿孔できるハンドツール。
  • 波板用錐 塩ビ/ポリカーボネートの樹脂製波板用の、バリが出にくい様に工夫された形状の専用の錐。グリップの付いたハンドツールと、六角軸のインパクト/電動ドリル用のビットがある。ビットのものは樹脂製波板だけでなく鋼製/スレート製の波板の穿孔も可能ではあるが、耐久性に何がありメーカーも使用を推奨していない。一般的に、ドリルビットを使う場合は鋼板製波板には金属用ドリルビットを、スレート製波板にはコンクリート用ドリルビットを使用する場合が多い。

はぜ締め(かしめ)

  • はぜ締め器/ガチャ/ガッチャ) 大型サイズのやっとこの様な形状で、2本のレバーをそれぞれの手に持って両手で締め付けるハンドツール。
  • はぜ締め機(電動) 自走しながらローラーではぜを左右から締め付ける電動工具。

運搬

  • キャリー 台車の様な荷台とハンドルを持ち、裏に塗装を傷つけにくい樹脂製のそりが取り付けられた運搬用具。施工中の折半屋根の上で各種の資材や工具を運搬する為に使用される運搬具。

2017年8月21日月曜日

波板用の各種バーツ

波板はホームセンター等で手軽に手に入れる事ができる。さらに、波板と組み合わせて様々な用途での施工性を高めるパーツも幅広く市販されている。よく見かけるものには、次のようなものがある。

固定用パーツ


  • 傘釘 波板を取り付けるための釘である。波板を広い面で押さえる事ができるように、頭の形状が傘のように大きく平たい。
  • 亀座金(亀ワッシャ ) 木用ワッシャの様に、穴の径に対して外径が大きいワッシャで、ゆるいカーブがついている。このカーブが丸波板のカーブにフィットし、波板をボルトオンする際にしっかりと押さえる事ができる。
  • スポンジ座金(パッキン) 木用ワッシャの様な形状のスポンジ製のワッシャである。亀座金と組み合わせて使う。締め付けトルクの調整、止水の働きがある。
  • フックボルト 頭の部分が90度よりも鋭角(55度程度)に折り曲げられたボルトである。頭の部分をアングル材やチャンネル材に引っ掛け、ナットで締め付けて波板を押さ付ける様に固定する。
  • パイプボルト J字型のボルト。丸くカーブした部分を単管等の丸パイプに引っ掛け、波板をボルトオンするのに使用する。
  • 波板スクリュー(波板ビス) ビスの頭部分に波板のカーブにフィットする樹脂(ポリカーボネートのものが多い)の押さえパーツがあらかじめ組み合わせてあるビスである。

屋根用パーツ


  • 屋根用役物 波板で屋根を施工した際に防水性を高める為の各種の役物が各メーカーから発売されている。
    •  棟包み
    • ケラバキャップ 等

その他

  • アルミ製波板用アタッチ 塀やガレージの屋根を施工する際に、波板の端部を包み込み、かつビスやボルトで各所に取り付けやすい形状を持った、専用のアルミ押し出しの建材である。
  • 波板パッキン 片側が直線、裏面が丸波板にフィットする波型をした細長い発泡ポリウレタン。平面と波板との間の隙間を塞ぐ為に使う。ビスやボルトの締め付けトルクを調整する機能もある。




2017年8月20日日曜日

波板の形状のバリエーション(鋼製・アルミ合金製)

波板には材質だけでなく形状にも様々なバリエーションがある。
樹脂製やスレート製のものはその殆どがいわゆる丸波(丸波板) であるが、鋼製・アルミ合金製のものには様々な形状のものがある。

  • 丸波(丸波板) 半円形を互い違いに並べた様な断面。JIS規格があるのはこの円波である。
  • 角波(各波板) 台形を互い違いに組み合わせ、山の頂部と谷の底部分が平行した直線になる様な、角の角ばった断面を持つ。谷の部分幅広く山の部分が細いものが多く見かけられる。
  • リブ波(リブ波板) 断面の形状は角波に似ている。角波の山部分の幅を更に補足して、山の断面が逆V字あるいは逆U字をしている。
  • 角波(スパンドレル型) 角波のバリエーションで、留め付けのビス頭が隠れる様に成形されている。各メーカーが様々な形状のものを発売しているが、近年は特に山と谷の幅がほぼ等しく、30mm前後のピッチで直角に折り曲げられたタイプのものがKスパン(K型スパン)と呼ばれ、各メーカーのカタログで目立っている。いわゆる金属系サイディングと分類される建材に近く、両者の境目ははっきりしていない。また、キーストンプレートにはK型スパンに似たものが、キーストンプレートを壁面の外装や冷凍倉庫の内壁に施工する例も一般的であり、波板とキーストンプレートの境目もあまりはっきりしない。ただし、キーストンプレートと呼ばれるものは、一般的にビスを隠蔽する為の成形は特にされていない。

波板・折板のJIS規格

波板のJIS規格について調べてみたところ、次のものが見つかった。

波板

  • JIS G 3302  溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯
  • JIS G 3312  塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯
  • JIS G 3316 硬質塩化ビニル波板の形状及び寸法
  • JIS K 6735 プラスチック−ポリカーボネート板−タイプ,寸法及び特性
  • JIS A 5430  繊維強化セメント板 (スレート波板)

折板

  • JIS A 6514 金属製折板屋根構成材
波板はあくまで建材製品に対しての規格であり、施工に関しての規格は含まれない。一方、折板は施工も含むものである。ポリカーボネート製とスレート製の波板に関しては、それぞれの素材の波板のみならず板材全般に関する規格の一部に波板に関する部分がある、というものである。